第4回市民公開講座・健康フェスタHP
令和元年10月27日(日) 橋本市保健福祉センターにて第4回市民公開講座・健康フェスタが開催されました。
伊都医師会会長 松浦良光先生の開会宣言で始まり、橋本市長平木哲郎様の挨拶の後、講演が開始されました。
市民講座Ⅰ
演題:「高齢化社会を生きるための知恵」~認知症をどう考えるか
講師:廣西 昌也先生(和歌山県立医科大学附属病院 紀北分院
認知症疾患医療センター長 脳神経内科教授)
認知症は、記憶力が低下しても、羞恥心やプライドは変わらないと言われています。認知症の方への偏見を取り除き、疾患の立場で考えるのではなく、「人の世話になりたくない」、「子供扱いされたくない」などの相手の気持ちを汲み取り、寄り沿う姿勢が必要とされています。その中でも認知症の改善には、薬より家族で一緒に食事をしたり、季節を感じる旅行に出かけたりするなど、心に触れあう事の方が効果があることを強調され、気持ちの面から認知症と向かい合う考え方を分かりやすく解説されました。
認知症の進行はあまり早くなく、中程度に進行しても突然 記憶を失うことはありません。少し日常と違う行動がみられても、焦らず、行政や医師に相談し、早期に対策をとってくださいとのことでした。
なかでも興味深かったのは、要介護の方は、刺激物を好まれるので、カレーを食事に出すのが有効で、カレー粉に入っているウコンが認知症予防に効果があるということです。
全体を通して、以前は認知症は、暗い印象でしたが、しっかり理解することで、明るくとらえ、安心した気持ちになることができました。
市民講座Ⅱ
演題:「食べる力と健康長寿」~オーラルフレイルと予防と対策
講師: 田中 章夫先生 (橋本市民病院 歯科口腔外科部長)
誰しも避けることができない老化。フレイルとは、健康と要介護の中間の状態で、適切な治療と予防で健康な状態に戻れる可能性があります。
健康長寿を保つためには、早期にフレイルを予防する事が重要で、そのためには3つの柱があり、栄養・身体活動・ 社会参加 が推奨されています。すなわち、 しっかり食べて、しっかり動いて、みんなで楽しく過ごすということです。講演では、その中のしかっり栄養を取る食事の重要性について強調されていました。それは、孤食よりも共食、口腔機能のケアがあります。
一人暮らしの高齢者は、一人で食事を摂る孤食となりがちです。孤食は食事の品数も減り食材も偏り、低栄養状態に陥りやすくなります。そして、フレイルの傾向が強くなり、一緒に食事する事に比べてうつ病が4倍、男性の死亡率が7倍にも膨れ上がります。一方、家族や友人と一緒に食事を摂る(共食)は、楽しく食べられて食欲が高まり、品数も増えて多様な食材を食べられるため、低栄養になることは避けられます。
次に加齢とともに噛むことや飲み込むなどの口腔機能が低下してきます。肉や繊維質の野菜など硬めの食材が食べにくくなったり、むせたりして、十分な食事ができなくなり、栄養の低下につながります。飲み込みに関する筋力低下が起こると、飲み込む機能が低下して食べたものや飲んだものが気管に入り、ムセたり、詰まったりする誤嚥を起こすこともあります。定期的に歯科検診を受けることで、口腔機能の低下を抑え、認知症予防にも繋がる言われています。講演では、具体的に口腔機能を向上させる方法として、パタカラ体操や唾液腺マッサージをわかりやすく解説して頂きました。
検診事業
長寿社会における健康寿命を延ばすために、口の健康は非常に大きな役割を果たします。伊都歯科医師会からは公衆衛生活動の一環として、歯科検診、舌圧測定を実施致しました。むし歯や歯周病、歯並びなどの相談を受け、55名の方が受診され、歯科医師の説明に高い関心を持って聞いておられました。
舌圧測定は舌の運動力を測定するもので、舌は嚥下能力や発音に大きく関わります。この測定には、85名の方が参加され、そのほとんどの方が初めて経験されたようでした。一人でも多くの方に舌の機能の大切さを改めて知って頂ける様、今後も機会があれば実施していきたいと思います。